インタビュー
作業療法士の魅力
文京学院大学卒の先生だから話せる
「BGU」から作業療法士を目指す魅力
作業療法士は少子高齢化社会、超高齢化社会と言った課題を抱える日本において、なくてはならない存在です。
一方で、治療や予防的な支援だけではなく、
地域に密着した社会復帰への支援など活躍の場所が多岐に渡り、人材不足とも言われています。
今回は文京学院大学を卒業後、病院での臨床を経て教員として入職された
松井香那葉先生、滝吉翔先生、駒崎かんな先生の3名に卒業生としての視点を持った教員だからできる
文京学院大学で作業療法士を目指す利点や“ならでは”の魅力をお話しいただきました。
- 松井 香那葉
- 保健医療技術学部 作業療法学科 助手
- 滝吉 翔
- 保健医療技術学部 作業療法学科 助手
- 駒崎 かんな
- 保健医療技術学部 作業療法学科 助手
作業療法士を
目指した理由
私は高校時代の職場見学です。小児分野の施設を訪れたのですが、作業療法士の先生と子どもが触れ合う中、親御さんが安心して楽しそうに見守っているのを見て、興味を持ちました。
父が消防士兼救急救命士で医療に向き合う姿勢を日頃から見ていたことに影響を受けていると思います。実は、高校生の頃は理学療法士になろうと考えていたのですが、本学のパンフレットやインターネットで仕事内容を調べている中で、作業療法士の存在と患者さんの身体を健康にするだけではなく、心理的な面からも関われることを知り、作業療法の道を目指すことにしました。
私も父が福祉関係の仕事に携わっていたことから医療福祉に興味を持っていました。直接的なきっかけは、高校時代の職場見学です。理学療法と作業療法の先生方が働く姿を間近で拝見し、身体だけではなく心のアプローチから患者さんを支える姿に魅力を感じました。
文京学院大学の
魅力
アットホームな雰囲気で先生方に相談しやすい環境が整っていることですね。勉学に取り組むモチベーションの低下や進路への迷いなど、在学中は悩んだり不安になったりするたびに先生方に相談しに行きました。
僕も在学中、授業でわからないことがあれば、すぐに研究室に行き質問していました。少人数制教育で学生1名に対して教員が多く、垣根のない開かれた環境なのは勉強や実習などさまざまな面で魅力だと思います。
相談のしやすさは他大学と比べてもトップクラスだと思います。さらに、本学は海外短期フィールドワークなど留学制度も整っています。私はカナダとマレーシアの2ヶ国に参加しましたが、海外の医療を知ると日本との差異を実感し、多角的に考えるきっかけにもなりました。
私は国家試験に向けたグループワークです。1グループは4〜6名で先生が指定した学生同士で組み、勉強の進め方はグループで考えます。私たちは各自が決めた範囲を予習し合い、お互いに説明し合いながら勉強していました。国家試験は、”理解度”が重要です。覚えた内容を伝えるだけではなく、なぜそのような答えになるのかを説明することで理解度を向上させたのが役立ち、模試の点数がかなり伸びました。
最終のスクールバスの時間までグループで勉強したり、ディスカッションを繰り広げたりと、濃厚な時間を過ごしたことです。自分の意見を正しく伝えることはチーム医療の基礎ですし、メンバーの性格を理解して自分の立ち位置や役割も考える能力が養われたと思います。勉学の面だけではなく、コミュニケーション能力も向上しましたね。
国家試験勉強のグループワークが印象深いです。このグループワークが在学生最後の取り組みになり、みんなで合格することを目標に、一体となってやりきる感じでした。
入職した今だからわかるのですが、教員の仕事の合間に親身になって相談に応じるのは本当に大変なこと。だからこそ私も相談しやすい環境作りを心がけています。勉学の面では教科書に載っているだけではない知識を伝えるようにしています。書いてあることが患者さんに共通しているわけではなく、しっかりと患者さん個人を診なければならないと知ることは大切です。
僕は以前臨床実習の指導者として学生に携わっていましたが、実習の前後で目の輝きが変わるといった意識の変化を経験しました。その中で、知識や技術がなぜ必要なのか。学生に”気づき”を持ってもらうことを大事にしています。
私も同じで教科書ベースではなく臨床ベースで話をすることを心がけています。また、一口に作業療法といっても「身体障害」「精神障害」「老年期障害」「発達障害」の4領域に分かれています。臨床でもさまざまな障害を併発される患者さんもいらっしゃいますから、領域に対する教員のバランスも本学が整っていることは教員の立場から見ても魅力だと思います。
これからの
作業療法士
高齢者の増加に伴って作業療法士はまだまだ人材不足です。一方で、地域の制度を見直すことで、社会復帰までの日数を減らすような動きもあります。しかし、社会に復帰するには、身体さえ治れば良いと言うものではなく、周りの環境にも配慮し、生活面での健康につながっていなければいけません。身体や心、そして生活環境など多様なことに知見を持ち、考えることができる作業療法士のニーズは高まり、活躍の場がさらに拡大していくと思っています。
そうですね。少し前までは、作業療法士は病院で働くことが基本でしたが、最近は地域で活躍する方も増えてきました。臨床を経験する中で、障害者総合支援法や診療報酬の枠組みなど、各種制度に当てはまらずに困っている方々は大勢います。そういった方を対象に自分で起業するなど、さまざまな広がりを見せています。
私も地域のリハビリテーションをメインに働いていたのですが、先生方の話の通り、退院される日数が早くなり、地域に出ることで生まれる課題もあります。それは、病気を持っている、障害を持っていると言う一面性の問題ではなく、社会で生活している人たち全員が対象です。健康な人でも作業療法の対象になってきていますので活躍の場は広がっていますね。
まずは、“作業療法士ってなんだろう”と思うところから入る方が多い職業です。そして、医療に携わりたい、誰かのために何かをしたいと思った方は、ぜひ職業体験で作業療法士の方の考えや仕事に触れてみて欲しいです。人に深く寄り添える仕事はとてもやりがいがありますよ。また、すでに目指している方は、今頑張っていることを継続して頑張って欲しいですね。患者さんのことを考える時に、自分自身が経験したことや感じたことは必ず役に立ちます。日々の生活を頑張って大事に過ごしてください。
作業療法士は、患者さんの状態を把握し、臨機応変な対応が求められる仕事です。「人」に寄り添うからこそ、今後、AIやロボット技術が向上したとしても代用がきかない職業と言えます。一方で、医療を提供する側としての責任も大きいと言えます。僕が在学中に意識していたことなのですが、友人やその家族が障害など抱えてしまった時、「自分に診て欲しい」と思ってもらえるようになりたいと考えていました。自分の大切な人を預けてもらえると言うのは、とても難しいことだと思います。隣にいる友人から信頼される作業療法士を目指すことを意識して学業に励んでください。
作業療法士は目立たない存在ですが、見えないところでも患者さんが良くなるためにさまざまなことを行っています。“人を支えることが好き”とか、“患者さんと一緒にリハビリを楽しめる”人が作業療法士になっていただけたら嬉しいです。興味を持っていただけたら、さまざまな動画やWEBサイトもありますので、少しでも触れてみてください。そして作業療法士の魅力にはまっていただけたらなと思います。
プロフィール
- 松井 香那葉
- 保健医療技術学部 作業療法学科助手
- 専門分野:身体障害の作業療法
文京学院大学保健医療技術学部作業療法学科を卒業後、医療法人社団青葉会 新座病院に勤務。2019年4月より文京学院大学保健医療技術学部作業療法学科で助手を務める。
- 滝吉 翔
- 保健医療技術学部 作業療法学科助手
- 専門分野:精神障害の作業療法
文京学院大学保健医療技術学部作業療法学科を卒業後、特定医療法人社団研精会 山田病院(現・東京さつきホスピタル)、医療法人積愛会 横浜舞岡病院に勤務し、2019年9月より文京学院大学保健医療技術学部作業療法学科で助手を務める。
- 駒崎 かんな
- 保健医療技術学部 作業療法学科助手
- 専門分野:身体障害・地域における作業療法
文京学院大学保健医療技術学部作業療法学科を卒業後、医療法人社団東光会 戸田中央リハビリテーション病院、株式会社ハート&アート 共生・多機能型デイサービス ダイアリーに勤務し、2021年7月より文京学院大学保健医療技術学部作業療法学科で助手を務める。