デジタルエンジニアリング本部
デジタルソリューション開発第3統括部 第1課 課長
林 秀信 様
社会の変化が加速する現在、AIやデータを正しく活用し、課題解決に挑む力が求められています。その中で、生成AIの活用やプロンプト力、AIの結果を正しく判断する力が、なぜこれからの時代に必要なのか。そして、学生時代に幅広い経験を積むことの大切さについて、ソフトバンク デジタルエンジニアリング本部事業開発部の林 秀信さんにお話しを伺いました。
INTERVIEW
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AIで仕事の幅が広がる。
使いこなす力を養う-
ソフトバンクではAI技術をどのように利用されていますか。
林:私が所属しているのは、法人事業統括デジタルエンジニアリング本部といって、大学や自治体、企業が抱える課題をAIをはじめとした、さまざまなソリューションで解決し、新たな価値の創出を目指しています。
ソフトバンクといえば、スマートフォンや通信の企業というイメージを持たれている方が多いかもしれませんが、通信事業のみならず、私たちはデジタル技術を活用した課題解決にも注力しています。最近では、生成AIを活用した業務効率化を推進する取り組みが活発です。たとえば、ミーティングの音声を文字に起こして議事録を自動で生成したり、インタビューの企画や内容の分析をAIにサポートしてもらったり。これらの活用方法は私たちの部署だけではなく、ソフトバンクの全社で広がっており、「日々の業務をどう効率化するか」、「どう品質を高めるか」といった観点で、AIの活用が進められています。今後、こうした技術を使いこなす力は、あらゆる分野で求められる基本的なスキルになっていくと考えています。
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AIに正しく問いかけ、
正しく判断する力-
AIの活用がベーシックになる一方で、どんな技術や知識が必要になりますか。
林:まず、文系・理系を問わず、誰もがAIを活用していく時代に突入してきたと考えています。その中で今後、特に重要になるのが「AIにどんな問いを投げかけられるか」と「AIから得た答えをどう判断するか」という2つのスキルです。
近年、AIの技術は急速に進化しており、文章の作成や情報の調査、さらにはプログラムの作成まで、これまで人の手で多くの時間をかけて行っていた作業が、短時間で自動化されるようになってきました。こうした変化の中で、人間が担うべき役割も変わりつつあります。
このような背景を受けて、今後社会で求められるのが先ほどの「AIに適切な指示を出すプロンプト力」と「AIが出した結果を正しく評価する力」です。AIは、どのような問いを投げかけるかによって返ってくる答えの質も大きく変わります。また、AIが出した答えをそのまま受け入れるのではなく、目的に合っているか、正確かどうかを自身で判断する力が求められます。 -
私は、AIの答えを正しく判断するためには、基礎的な学びはもちろん、幅広い知識や多様な経験も必要だと感じています。さまざまな分野に関心を持ち、自ら体験することで、AIが提示する情報をより深く理解し、適切に活用する力が身についていきます。そのためには、座学だけでなく、社会課題に関わる実践の場にも積極的に参加したり、興味を持ったことに挑戦することが大切です。
ヒューマン・データサイエンス学部との連携では、実社会の課題に触れながら学べる多様なプログラムを展開していく予定です。その一つとして、文京学院大学の学生や高校生を対象に、アイデアソンやハッカソン形式のイベントを企画しています。参加者は、初めて出会うメンバーとチームを組み、限られた時間の中で協働します。こうした取組を通して、「初対面の相手とチームで取り組む力」や「短期間で成果を出す力」を実践的に養うことができます。
さらに、私たちが日々取り組んでいる事業開発の視点も取り入れ、単なるアイデアの発表にとどまらず、「そのアイデアにどのような市場性があるか」「競合との差別化は何か」といったビジネス的な観点も取り入れ、深掘りしていきます。こうした実践を通して、学生の皆さんには社会に通用する発想力や分析力を育んでもらいたいですね。
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志望大学の選択は
「興味」と「目的」が大切-
高校生へのメッセージをお願いします。
林:「模試でこれくらいの点数だからこの大学に行く」ではなく、「この研究に興味があるから」や「この先生の取り組みって面白いな」といったように、自分なりの目的を持って選んでほしいと思います。入ることがゴールではなく、入った後に何をしたいか。それがはっきりしていると、大学生活もきっともっと楽しく、充実したものになりますよ。
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PROFILE
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デジタルエンジニアリング本部デジタルソリューション開発第3統括部第1課 課長
林 秀信 様