自分の殻を破る旅に出かけた
私は今、フィリピンの英語教育機関、Pines International Academy, Inc(PINES)のマーケティング部門に携わっています。PINESはフィリピンのバギオとセブに2つのキャンパスを持ち、500〜600人の学生が学んでいます。アジアや中東の多様な国々出身の学生が寮で共同生活を送りながら、最短で2週間、長い方だと2年間、学びます。
業務に携わって最初の3年間は、現地で学生たちの学習や生活の相談に乗ったり、英語力がより向上するようにアドバイスしたりといった、学生サポート業務を担当していました。嬉しいのは、殻を破って成長していく学生を見るときです。入学当初は英語力という以前に、内気でなかなか人と話せなかった学生が、卒業パーティではダンスを披露して盛り上げていたりすることもあります。そんなふうに閉じていた意識がオープンになって帰っていく姿は感動的で、この仕事のやりがいを感じます。
日本人にとっては、大らかで温かみのあるフィリピン人講師の指導は、同じアジア人でもあり、とても合うと思います。このことをもっと伝えようと、2016年からは日本に戻り、PINESの日本の受付窓口を担当し留学を考える方たちと、英語の学習に取り組んでいる方々の学習相談にのっています。
在学時、大学のオリジナルプログラム「新・文明の旅」が始まり、私はトルコ・ブルガリア・ルーマニアへの派遣学生に選抜されました。初めての海外でしたが本当に多くの出会いがあり、広い世界を生きていく力がもっとほしいと思うようになりました。
大学の卒業を前にして、日本で就職するのと海外に出るのでは、どちらが自分はグローバル時代に対応できる人間になれるだろうかと自問自答して、すぐには就職せず、フィリピンに語学留学をする道を選びました。親からも反対されながらの決断でしたが、当時の私も、殻を破りたかった。そして実際に一歩を踏み出すことで変わることができた。学んでみて素晴らしいと思ったPINESの学校で、今度は自分が育成する側になりたいと、現地の仕事に携わるようになり、現在に至ります。あの時の挑戦があるから、今がある。英語力というだけじゃない、生きていく自信をつけることができた。
先月、彼女と結婚もしました。2年前にガンで他界した父にも墓前で報告しました。新しい家族をつくっていきます。仕事でも、日本での新しい教育事業の立ち上げを任されて、今、事業所の場所探しから自分で始めているところです。ゼロから事業をつくっていくのはとても大変ですが、やりがいがあります。イノベーションは挑戦から始まることを知っているので、これからも挑み続けていきます。
自問自答して選んだ自分の生きる道。
親父、見てくれていますか。 ー 日暮 武蔵
※インタビュー内容はすべて取材当時のものです。