教授
インタビュー

臨床検査とチーム医療

保健医療技術学部 学部長と臨床検査学科 学科長に聞く、
臨床検査とチーム医療

高度な専門知識を学んだエキスパートがチームを組み、患者さんの治療やケアに当たるチーム医療。
医療技術の進歩や分業化が進む現在、取り扱う検査対象が広くなるとともに、そのチーム医療の必要性が高まっています。
今回は、患者さんのデータを検査で取得、診断や治療に役立てる臨床検査技師の視点から、チーム医療の魅力や将来性に
ついて保健医療技術学部 学部長の川良先生と臨床検査学科 学科長の大久保先生にお話をうかがいました。

川良 德弘
保健医療技術学部 学部長/臨床検査学科教授
東京医科歯科大学で臨床医として従事しながら検査関連の教育にも携わる。2012年、本学の教授に就任。
大久保 滋夫
保健医療技術学部 臨床検査学科 学科長/教授
東京大学医学部附属病院にて検査部の臨床検査技師長を務めた後、2016年、本学の教授に就任。

将来性が高く、
やりがいのある
臨床検査技師

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まずは臨床検査技師の役割とやりがいを教えてください。

採血や心電図検査など直接患者さんと接したり、検査結果をもとに異常の予兆を見つけたりします。人が健康に過ごすためのお手伝いができるのが臨床検査技師の魅力であり、やりがいですね。

そうですね。不調の原因を発見、解明するというのは人々や社会の役に立っているということを実感できます。最近は、世の中が健康志向なので「予防医学」も注目されていて、今後も”検査”の需要が高まるとともに、臨床検査技師の活躍の場は広がるだろうと思います。

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検査が身近になる分、生涯勉強として自己研鑽に励んでいくことが大事な職業でもありますよね。

はい。国家試験に受かってからがスタートですから、常に知識や技術を積み重ねていく気持ちを大切にしてほしいですね。臨床検査技師は検査のスペシャリスト。オーダーを受けた検査項目に対して適切に対応することが第一ですが、一歩進んで、その検査内容が患者さんにどうのように活かされているのかも知ってほしいです。
患者さんと接する機会も豊富ですから、臨床検査技師として”検査をする”だけにとどまらず、患者さんに対してわかりやすく”検査の説明”ができる本当の意味での検査のスペシャリストを目指してほしいと思います。

その通りですね。それに近年は検査の中身も変化していて、遺伝子検査が一つのキーワードになっています。人間は十人十色。それは薬の効き方や代謝も例外ではありません。そういった個人差を遺伝子レベルで評価し、薬の種類や量、用法を一人ひとりに合わせていくなど、遺伝子検査はより治療と密接に関わっていくだろうと思います。
日本も国として遺伝子検査に目を向けていますから、臨床検査技師には今後さらなる発展が望めるとともに、向上力のある人材が求められるでしょう。就職先も病院や検査センター、製薬メーカーなどを始め、さまざまな可能性のある職業ですから目標を持ち続けることが重要ですね。

チーム医療
現場学び

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医学の進歩や、高齢化の急速な進行により、チーム医療の充実が必要とされています。大久保先生は現場に携わっていた期間も長く、経験も豊富。具体的にはどのようなことをされていらっしゃったのですか。

チーム医療の中心にいるのは「患者さん」ですが、リーダーとして医師がいて、看護師、栄養士、臨床検査技師、薬剤師でチームを組んでいました。ひとつ具体例を上げると、NSTという栄養療法のチームを組み、患者さんの栄養状態をさまざまな視点から評価や分析をしていました。栄養療法は基本的かつ重要な治療法のひとつですが、医療の現場にいると、症状を治すことを優先に考えがちになってしまいます。これは間違いではありませんが、そこに臨床検査のデータを加え食事の改善方法や、退院後の患者さんを見据えた提案などを話し合っていました。

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文京学院大学には、理学療法、作業療法、臨床検査、看護の4学科横断でチーム医療を学ぶ授業がありますね。川良先生、詳しく教えてください。

他職種連携教育ですね。患者さんのことを第一に考えながら、各学科それぞれの専門分野を学んでいます。患者さんへのアプローチの仕方や評価の方法は、専門分野によって異なります。さまざまな視点から患者さんを考えなければならないことを知ることはチーム医療の第一歩ですから、学生にはその多様性を実感してほしいと思っています。

想いに応え、
切磋琢磨し合える
環境

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最後に、臨床検査技師を目指す受験生にメッセージをお願いします。

4年間非常に内容の濃い学習をしてもらうことになると思います。けれど、文京学院大学には人の役に立ちたいというとても純粋な強い想いを持った学生が多く、お互いに切磋琢磨し合える環境です。”なりたい”という気持ちを忘れずに励んでいければ大丈夫です。

積極的に学び、実際に自分がやっていることに疑問を持って取り組んでほしいと思います。疑問を解消するために自身で調べたり、教員に聞いたりと、思考することで成長につながります。目的を持って飛び込んでいただければ、教員が全力でサポートする環境が整っていますので、心に想いがある人はぜひ踏み込んでみてください。

プロフィール

川良 德弘
保健医療技術学部 学部長/臨床検査学科教授
専門分野:内科、不整脈、循環生理、自律神経

1984年に東京医科歯科大学医学部卒業。内科研修および循環器研修を修めたのち、1991年に東京医科歯科大学医学部保健衛生学科に所属。臨床医の業務に従事しながら検査関連の教育にも携わる。2012年、文京学院大学保健医療技術学部臨床検査学科教授に就任。

大久保 滋夫
保健医療技術学部 臨床検査学科 学科長/教授
専門分野:検査管理学、検査機器総論

1979年に東邦大学理学部卒業。同年、東京大学医学部附属病院検査部に入職。主任臨床検査技師、副臨床検査技師長を経て、臨床検査技師長として4部門からなる検査部を統括。2016年、文京学院大学保健医療技術学部臨床検査学科教授に就任。

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