卒業生だより
とことん考え抜いた

森木 瑞貴さん 杉並区立宮前保育園
保育士

とことん考え抜いた

PROFILE
人間学部 児童発達学科 2015年卒業

指先の感覚を大切にした遊びを通して、体をつくる。

私の職場は杉並区の住宅街で、約50年にわたり、地域の子育てを支えている保育園です。毎朝、保育環境を整え、お母さんやお父さんに連れられ登園してくる園児を受け入れ、保育園の1日がスタートします。

ここで私は今、3歳児17人のクラスを担任しています。0歳児や1歳児のクラスを担当していたこともあり、乳児期と幼児期の体つきの違いに、あらためて驚いています。運動能力も上がってきて、いろいろなことに興味を持ちます。例えば、ボール遊びに興味を持ち、上手にボールを扱えると、それは園児の自信になります。園児に一つでも多くの自信を持たせることは、3歳児クラス担当者の重要な役割です。

私は、遊びを通して指先まで使って体を動かした身体づくりを大切にしています。運動機能が最も向上する今の時期に、様々な身体の動かし方を経験させ、苦手な動作を減らしてあげたいと思っています。

みんなが初めからうまくはできません。大人も苦手なことに挑戦するのは勇気がいるように、子どもも勇気を出して挑戦するんです。そうやってクリアすることが自信になって、興味の幅が広がり、あれもやってみようと、いろいろなことに挑戦したいと思えるようになる。それを導くのが私の役割だと思っています。

繰り返し悩んで、見えてきた私流の保育。

以前、5歳児クラスの園児が、オバケのおもちゃをつくり、それを使ってオバケ屋敷をつくったことがあります。そこに、3歳児クラスを招待してくれて、みんなを楽しませてくれました。帰ってきた3歳児クラスのみんなは、自分たちもオバケのおもちゃをつくりたい。そう言いました。

「鉄は早いうちに打て」ではありませんが、園にある材料を集めて、なんとかつくることができました。小さな体のどこにそんなエネルギーがあるのだろうと驚くほど、みんな大はしゃぎ。やりたいという熱量が高いうちに応えてあげることは本当に大切なんです。遊びも広がっていき、いろんな経験に繋がり、そのエピソードが保護者の方々とコミュニケーションを深めるきっかけになったりもします。

「園児を夢中にする」。言葉では簡単ですが、なかなかできず苦しんだ時期がありました。一緒に遊んでいても私が想定している反応がなく悩んでいました。何がダメだったんだと保育の計画ばかりを考えていました。考えて行動してまた考えてを繰り返しているふとした瞬間に思ったのです。

園児たちといる時間をもっと楽しんでみようと。それからは、自分らしい保育もできるようになってきて、朝の掃除でも、ただきれいに保育環境を整えるだけじゃなく、何をどこに置けば遊びが広がっていくかなあと視野も広がってきています。まだ4年目。もっともっと自分らしさを保育に反映できるようにと思っています。

私は、まだレールにはまりがちなんです。
もっと私らしい保育ができるはず。
迷ったときこそ、自分らしく。
ー 森木 瑞貴

※インタビュー内容はすべて取材当時のものです。