卒業生だより
10年を節目に
ワンステップ上の
理学療法士を目指す。

西田 直弥さん 苑田第二病院 理学療法士

10年を節目に
ワンステップ上の
理学療法士を目指す。

PROFILE
保健医療技術学部理学療法学科 2010年卒業。
小学校から野球チームに所属。中学生のとき、痛めた肘の治療で理学療法士を知った。4年間でいちばん記憶に残っている授業は、6週間の鹿児島県での実習。一人で参加したことで「自分が、患者さんのためにできることとは?」を改めて考える時間になった。

誰もが納得するベストな方法を提案する。

もう元の生活には戻れないと思っていた患者さんが回復して退院していくと「人の役に立つことができた!」とこの仕事の素晴らしさを実感します。新卒から勤務している苑田第二病院は、骨折や内部疾患で寝たきりの状態が続いている患者さんや、急性期を脱したばかりの患者さんの受け入れが多いのが特徴です。症状を併発しているケースも多く、看護師・作業療法士・医師と情報を共有しながら治療法を探り当てていく感じです。

医療チームで大切にしていることは、退院後の生活を全員でイメージすること。例えば、歩けるようになるために手術という選択肢があるが、患者さんは高齢で手術に耐えられるか体力的に不安。そんなときは、体に負担のかかる手術を避け、車椅子での生活を想定することもあります。必要になる動作のために、環境設定に関して、作業療法士や介護福祉士と議論し、患者さんに提案。患者さんやご家族、医療チーム全員が納得すれば、その生活に合わせた居住環境の整備を目指します。理学療法士だから理学療法のことだけを考えるのでなく、医療チームの一員として、いろんな切り口から理学療法士の自分はどんなゴールを想定して患者さんにアプローチできるかを考える事が大切だと日々、感じています。

卒業してからも相談や研究で大学に行っています。

理学療法学科が開設した年に一期生として入学しました。地元から通学時間も長く、実を言うと最初は勉強に乗り気ではなかったのですが、いつの間にか理学療法にどんどんハマっていく自分がいました。振り返ってみると理由は1つ、先生たちの授業です。教科書の内容をそのまま教えるのではなく、現場に立ち自分の手で感じたことを教えてくれている、そんな感じがしていました。経験からくる自身の治療の考えがあり、それに向かって専門領域を深堀りしている。だから、オリジナリティがあります。先生たちに教えてもらったことは、不思議と現場ですぐに使える知識や技術ばかりですし、どんな患者さんにも対応できる懐の広さがあります。

現場に出るようになり、自分の知識不足を何度も痛感しましたし、先生に相談に毎週行っていた時期もあります。知識を深めるために、仕事と並行して、大学院にも通っています。柿崎先生のもとで修士課程を修了し、今は東京医科大学大学院で、人体構造学分野の博士号の取得に向け、研究を続けています。理学療法士として、もうすぐ10年目。これまでの経験、大学院の研究を論文にまとめ得た知識を総括して、自分の治療への考え方を確立して、もうワンステップ上の理学療法士を目指しています。

※インタビュー内容はすべて取材当時のものです。